男子走り幅跳び、津波が初優勝 逆転され「スイッチ入った」 陸上日本選手権 


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日本選手権の男子走り幅跳びで初優勝した津波響樹(中央)=2日、新潟市のデンカビッグスワンスタジアム

 新潟市のデンカビッグスワンスタジアムで2日に行われた陸上の日本選手権第2日、男子走り幅跳びの津波響樹(那覇西高―東洋大出、大塚製薬)が7メートル99で優勝した。津波の日本選手権優勝は初めて。

 9月の全日本実業団対抗選手権に続いて同種目を制した津波は「結果にこだわって跳躍した。日本選手権での優勝はうれしい」と初制覇を喜んだ。


「逆転され燃えた」 気持ち静め、大台迫る

男子走り幅跳び 津波響樹の最終跳躍=2日、新潟市のデンカビッグスワンスタジアム(長嶺真輝撮影)

 午後8時を回った。中越は新潟の地。スタジアムを包む秋夜のひんやりとした空気とは対照的に、男子走り幅跳びの優勝争いが熱を帯び始めていった。

 5回目。伊藤陸(近畿大工業高専)がそれまでトップだった津波響樹を1センチ上回る7メートル75を記録。日本選手権3連覇中のライバル、橋岡優輝(日大)が欠場し「切磋琢磨(せっさたくま)したかった」と無念さを抱えていた津波だが、逆転されて「『火を付けてくれてありがとう』という気持ちだった。あれでスイッチが入った」。

 左胸をぽんぽんと右手でたたき、気持ちを落ち着かせて助走スタート。踏み切りから豪快にジャンプし、向かい風0.1メートルで大台に迫る7メートル99を跳んだ。「シーズン中に助走スピードが速くなり、うまく調子を上げられた。満足はしてないけど、結果にこだわったので優勝はうれしい」。爽やかに汗を拭った。

 自己ベストは8メートル23。今季は初戦が遅れて8月だった。そのセイコー・ゴールデングランプリで2位に入り、9月の実業団対抗選手権で優勝とようやく調子を上げてきたところだが、今大会を最後にオフシーズンに入る。

 課題は明確だ。この日はパスした3回目を除き、全5回の跳躍のうち3回がファウル。スピードの向上を加味し「踏み切り技術を高めれば8メートル20~30は跳べる」と頼もしい。来夏の東京五輪出場を見据え「来春には世界と戦える記録を出したい」。沖縄が誇る快足ジャンパーが、さらなる高みへと駆け上がる。

(長嶺真輝)