米軍普天間飛行場から泡消火剤が流れ出た4月の事故について米軍内部の報告書の整合性に疑念が生じている。報告書は、居合わせた隊員たちがボタンの操作方法を理解していなかったと結論付けているが、隊員らの証言からは、何らかの理由で機能していなかったことが分かる。不具合があった可能性も否めず、真相解明は不十分だ。
報告書は非常停止ボタンについて事後の検証結果では正常に動いたと説明しているものの、事故当時の不具合については示していない。救急隊員はボタンが「操作不可能だった」と証言している。
米軍が示した再発防止策は、消火装置についての隊員教育やボタン操作に関する訓練など、あくまで人為的事故であることを前提にしたものにとどまる。もしボタンにも不具合や誤作動があったとすれば、改善策が不十分だったことになる。
米軍から報告書を受け取った防衛省は9月、「ボタンの使用方法を把握していた者がいなかったため、消火システムが作動し続けた」と説明した。報告書の結論部分を引用した形だ。一方、ボタンが機能しなかったという隊員らの証言には触れていない。
沖縄国際大の前泊博盛教授は「住民の命に関わる問題であるにもかかわらず、(米軍は)いいかげんな報告をし、日本政府がうのみにしている。日米両政府に基地内の汚染問題を抜本的に解決する気がないことが分かる」と指摘した。
(明真南斗)