那覇大綱挽保存会相談役の真栄里泰山さん(76)は那覇大綱挽の特徴について「農村の稲作儀礼としての綱引きとは違い、都市型のイベント綱だ」と解説する。1995年に「世界一のわら綱」としてギネスブックに認定されたことなどを例に「成長し続ける綱だ」とも指摘し、さらなる発展に期待する。
琉球王国時代の那覇大綱挽は冊封の打ち上げ祝いなどで不定期に催された。戦前は1935年に行われたのが最後だ。戦後の本格的な復活は日本復帰前年の71年で、那覇市制50周年記念として開催された。真栄里さんは「復帰前の混乱期に保革を超え、一致団結して復活させた」と先人をたたえる。
真栄里さんは72年に那覇市に入庁し、市史編さん担当や経済部長などを歴任。綱挽保存会事務局長も務めた。市幹部だった1995年ごろには、大人気だった貴乃花、曙の両横綱を大綱挽に出演させようと当時の親泊康晴市長に提案したこともある。親泊市長は村山富市首相に電話し協力を要請した。首相も前向きだったが、横綱の日程が合わず実現しなかったという。
今後の大綱挽について「アジアから招いたり海外で綱を引いたりと国際交流を活発化させてほしい。大綱見学などができる会館も整備してほしい」とさらなる夢を描いている。