32軍司令部壕の換気口「調査が必要」 勉強会で牛島さん指摘


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首里城地下の第32軍司令部壕について自ら調査した内容を語る牛島貞満氏=10日、那覇市の首里公民館

 首里城地下の第32軍司令部壕の保存・公開を求める会(瀬名波栄喜会長)は10日、那覇市の首里公民館ホールで日本軍第32軍を指揮した牛島満司令官の孫、牛島貞満さん=東京都=を招いて勉強会を開いた=写真。「第32軍首里司令部壕跡を歴史・平和学習の場に」と題した勉強会には、市民ら約60人が参加し、壕の構造や過去の調査について理解を深めた。

 牛島さんは、これまで独自に米軍や県などによる第32軍壕の調査資料を調べ、自らも壕の内部構造について現地調査してきた。10日の勉強会では、米軍と県などによる調査の範囲と記録を整理し、比較した。

 沖縄戦で、第32軍が首里から摩文仁に撤退した後、首里を占領した米軍は「Shaft(シャフト)A」と呼ばれる換気口を探り当て、壕内部を調査したと説明。換気口の下に続く無線機室や坑道などの写真を収めた米軍資料を示した。

 一方で、県などはこの換気口や第一坑道について未調査であるとして「今後、調査が必要だ。遺骨収集についても行われていない可能性がある」と指摘した。換気口の近くにあった大きな岩が現在はなくなっているとして、地形の変化も検証の必要性があると強調した。