離島のLNG発電、海上輸送の岸壁に課題 沖縄総合事務局発表


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 沖縄総合事務局は12日、液化天然ガス(LNG)の小規模海上輸送についての課題と対応策を取りまとめ、発表した。沖縄電力が宮古島市でLNGを用いた発電を計画しており、タンクコンテナなどを使って離島に少量のLNGを海上輸送する上での経済性や法規制上の課題などを検討会で洗い出し、対応策を共有した。

 沖電は宮古第二発電所に、LNGと重油のどちらも使えるデュアル・フューエル(二元燃料)発電機2機を導入し、2021年の稼働開始を予定している。海上輸送の課題が解決すれば、重油に比べ環境性能の良いLNGを使用して発電することを計画している。

 経済性の試算では、週1回、15年間輸送を継続する場合、1回当たりの輸送量が500トン以下ならタンクコンテナ、500トン以上なら小型タンカーによる輸送が経済的に優れているという計算になった。

 危険物に当たる引火性高圧ガスは、市街地からの距離や設備による岸壁の区分ごとに、1回当たりの積み降ろし許容量が定められている。旅客船を係留するA岸壁は1回で積み降ろせる量が1トンまで、市街地からの距離が300メートル程度のB岸壁は同20トンまでと定められ、関係者によると発電用燃料の輸送に使うには許容量が小さすぎるという。

 一方で、積み降ろし許容量100トンのC1岸壁、同400トンのC2岸壁は現段階で県内に該当する岸壁がない。許容量が大きいD岸壁に該当する吉の浦火力発電所(中城村)内の岸壁はコンテナを取り扱える物理的なスペースが少ないといい、今後は岸壁の確保などが課題となる。

 沖電は、検討結果を受けて「運用面や経済性、環境性能などを総合的に勘案して検討を続けていく」としている。

 検討会には総合事務局や第11管区海上保安本部、県、那覇港湾管理組合、沖電などの関係機関が参加し、1~9月に書面開催を含め3回の議論を重ねた。