中学の修学旅行、19校が県内に切り替え 沖縄の良さ知る機会に<新型コロナと沖縄>


社会
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修学旅行でマリンスポーツを楽しむ南風原中3年の生徒ら=12日、恩納村のかりゆしビーチ

 例年、修学旅行シーズンの最盛期を迎える10月。新型コロナウイルスの影響で学校行事が相次いで中止となっている中、県内の中学校では修学旅行の目的地を県外から沖縄県内に切り替えて実施する動きが出てきている。県義務教育課によると、8月末時点で県内の中学校で、修学旅行を県内へ振り替えると決めている学校は19校、次年度への延期は37校、検討中は53校ある。12日、旅行先を恩納村に切り替えた南風原中3年生の、コロナ禍の修学旅行を取材した。

 南風原中(當間保校長)は当初、10月末に3泊4日で九州地方への修学旅行を予定していたが、感染リスクを考慮して取りやめにした。最終学年で次年度への延期はできないため「どうにか実施したい」(當間校長)との思いで開催方法をぎりぎりまで考え、恩納村への日帰り旅行を決めた。コロナの影響で上期の学校行事は全て中止になり、同校では2020年度初めての学校行事となる。

 3年生は総勢240人。コロナ禍での大人数による移動に、教員は常に生徒がマスクを着用するよう注意を払った。学校の体育館に集合したのは午前6時。生徒全員が検温チェックシートに体温を記入し、体調の確認から始まった。

 仲間大輔教諭は「楽しんでほしいが、浮かれ過ぎず対策はしっかり取ってほしい」と生徒に呼び掛けた。貸切バスは1クラス1台の計6台で移動した。入り口で手を消毒し、車内では私語を慎むなど、貸し切りバス利用のガイドラインに沿った行動となった。

 午前中は恩納村のかりゆしビーチでグラスボートやシーカヤックなどのマリンスポーツを体験した。ビーチ入場時の検温や、ボートの乗員を減らすなど感染対策は取りながらも、食事以外で唯一マスクを外せる時間に、生徒たちの笑顔がはじけた。

 海辺で遊んでいた津波古渚さん(15)と古屋遥さん(15)は「3年間で一番楽しい。今まで(友達と)触れ合いもできなくて、クラス皆で遊ぶのは久しぶり。自由だ」と声を弾ませた。

 昼食と演芸大会は沖縄かりゆしビーチリゾートオーシャンスパ(恩納村)の宴会場を使った。同ホテルでは、本来バイキング形式で提供していた食事を、個別のプレートに変更した。

 例年、出し物はクラス全員でするのが定番だが、代表者数人に限定した。練習時の密回避や、ステージに上がる人数を減らすためだ。出演人数は少なくても、漫才や楽器演奏などが披露され、会場は盛り上がった。

 土産品は、修学旅行を取り扱った沖縄ツーリストが一括で購入して生徒に配る形をとった。

 當間校長は「短い時間だったが子どもたちも楽しんでいて良かった。沖縄の素晴らしさを改めて感じられたと思う」と話した。

 (中村優希)