事業見直し迫られる離島自治体 過疎指定除外に危機感 コロナで税収にも打撃


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 過疎新法の制定に伴う本紙試算で、指定除外の可能性がある自治体は危機感を強めている。インフラ整備や箱物事業のための高率補助制度のほかにも、他の制度では代替の利かない過疎債のソフト事業が実施できなくなる恐れがあるからだ。自治体からは新型コロナウイルスの影響もあり、厳しい財政運営の中で継続を求める声が相次いだ。県は離島自治体が多く、他都道府県より過疎法の適用が10年遅れた特殊事情を踏まえ、指定継続を求める要請活動をしている。

 新法で指定から外れる可能性のある北大東村は「(指定が外れれば)移住者の一時的な住まいとなる『定住促進住宅』の整備が滞る可能性がある。辺地債も活用しているが過疎債に比べ借り入れ対象が限られていて使いづらい」とした。

 一方、伊江村は「(2022年度から見込まれる)沖縄振興特別措置法の改正もあり、村負担が増えていくので新たな事業展開を検討する」とした。

 議員立法を目指し過疎新法の議論を進めているのは与党自民党だ。現時点で判明している素案では「過疎地域は財政力が相対的に弱い市町村とする必要がある」との記述がある。指定要件の一つで、ポイントが高いほど財政力が健全となる財政力指数の全国自治体平均は0.51だが、県平均は0.38、過疎18市町村では0.17と一段と低い。

 県はこの記述に目を付け、自民党に対し、人口減少が改善していても財政力で劣る県内自治体への配慮を訴えている。ただ、全国の過疎自治体でそれぞれの地域特性に応じた要請活動が行われており、沖縄の事情が反映されるかは未知数だ。

 指定から外れる可能性のある渡嘉敷村の担当者は「仮に適用されない場合、厳しい財政計画の中で施設整備計画を見直さなくてはならない。新型コロナウイルス関連で打撃を受けているので、税収も厳しい状況にある。指定を継続してほしい」と強く訴えた。
 (梅田正覚)