2020年度県高校新人体育大会は18、19の両日、各地で3競技を行い、空手道は女子団体組手で首里が12年ぶりに優勝した。男子は浦添が5連覇した。空手道の団体組手は上位4校、個人組手の各階級から男女計16人が全九州高校新人大会に派遣される。
◆首里、強敵破り12年ぶりV
層の厚い浦添に対し、選手の多くが高校から空手を始めた首里。他部との調整で武道場は使用制限があり平日の稽古は1時間程度で、他チームとは練習量でも不足感は否めない。それでも監督のオーダーの狙いが当たるなど破竹の勢いで勝ち星を重ね、下馬評を覆した。
先鋒(せんぽう)は相手エースに取られたが、次鋒と中堅で流れをつかんだ。次鋒の上間愛希はテンポよく足を刻む相手にペースが乱れたが、仲間の「間合いを取って」という言葉で落ち着きを取り戻した。1分半の試合の後半、一気に6連続で突きを決め8―5で勝利した。
「つないでくれた。絶対勝つ」と、中堅の津口天音は必死に立ち向かう。夢中だった。試合後に5―4で競り勝ったと気付いた。「貢献できてうれしい」と目に涙をためてエースに後を託した。
副将の黒島慧主将。「わくわくした」と笑顔で主将対決に臨んだ。先取されても動じない。下半身を居着かせず、ステップを交互に入れ替えつつ隙をうかがった。中段突きと上段突きを決め逆転。2―1で優勝を決めた。
昨年は県内2位で出場した九州で全国出場枠まであと一歩及ばなかった。黒島主将は「このメンバーで挑めることが楽しみ。みんなで全国につなげたい」と一丸で挑む。
(古川峻)
◆1年生で臨んだ浦添、組手団体の混戦制す 気を吐いたエース金城
男子組手団体戦の決勝リーグは3校の勝敗が並ぶ混戦を、浦添が制した。優勝がアナウンスされるとメンバーは「しゃあー」と叫び、抱き合って涙した。
2年生2人がけがで出場できず、エース金城亨鷹は自身を含め1年生だけで挑む大会に不安があったという。それでも「周りにエースと言われたら負けられない」と予選から全試合負けなしでチームを引っ張った。決勝リーグの美里工との対戦は残り数秒で逆転する底力を見せた。
9月の県高校選手権の1回戦敗退から実践中心の練習を積み、それぞれが自らのビデオを見て癖を分析した。部活後も1年生で自主練習を続けた。決勝リーグで全勝してチームに貢献した山城澄心は「いつ休みを取るのかというくらい稽古した」と振り返る。
九州へ向けて金城は「相手の目線の切り方や時間の使い方を練習して、イメージを持って課題に向き合う」と地力をつけるつもりだ。