ヤンバルテナガコガネを守ろう 密猟防止へパトロール、30人が参加 北部3村


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ
林道をパトロールする関係者=13日、国頭村内

 【北部】ヤンバルテナガコガネ等密猟防止協議会(事務局・環境省沖縄奄美自然環境事務所)は13日、国頭村、東村、大宜味村で密猟防止合同パトロールを実施した。この日はエリア内の林道などを見回った。密猟行為は確認されなかった。

 ヤンバルテナガコガネは沖縄本島北部にのみ生息する日本最大の甲虫。1983年に発見され、国天然記念物、国内希少野生動植物種(種の保存法)、レッドリスト絶滅危惧ⅠB類になっている。オスの前足の長さは9センチにもなる。

 ヤンバルテナガコガネ等密猟防止協議会は2001年に発足。環境省、林野庁など国の機関や県、県警、国頭村など北部4市町村、琉球大などで構成する。元々はヤンバルテナガコガネの保護を目的にしていたが、オキナワマルバネクワガタや、鳥獣などにも対象を広げた。

 13日の合同パトロールには関係機関から約30人が参加し、4ルートに分かれてパトロールした。

本島北部にのみ生息する希少な昆虫・ヤンバルテナガコガネ(環境省やんばる自然保護官事務所提供)

 出発前に環境省やんばる自然保護官事務所の担当者が密猟の状況を説明した。沖縄や奄美で密猟された希少生物は、宿のほか、郵便局、ペットショップなどさまざまな場所で見つかっているという。海外のインターネットショップで南西諸島に生息する希少生物が売買されていることも確認されている。

 同事務所の横山愛那さんは「採取自体の違法性の周知や対策に取り組んでいることを示すことが密猟の抑止になる」と説明した。その上で「密猟で持ち出された個体は、(防疫などの関係で)生きていても生息地に戻すことはできない。生息地で密猟を防ぐことが重要だ」と強調した。

 本島北部では日常的に環境省が年間200回程度、県も年間200回前後パトロールを続けている。環境省は林道、県は森林内を見回っている。