コロナ禍越え「執心鐘入」を演じ 組踊研修6期生が初の舞台


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組踊「執心鐘入」を演じる国立劇場おきなわ第6期組踊研修生=8日、浦添市の国立劇場おきなわ

 国立劇場おきなわ第6期組踊研修生の第1回発表会「執心鐘入」が8日、浦添市の同劇場で開かれた。第6期生は、通常4月から始まる研修を、新型コロナウイルス感染症の影響で5月末から開始した。未熟な部分も見られたが、稽古時間が限られる中、懸命に演じきった。

 伊波心(中城若松)は名乗りで声がかすれ、声切りの音の低さが気になった。森山和人(宿の女)は声がこもりがちで、森山康人(座主)は声に威厳が感じられなかった。長嶺龍(小僧1)、國場海里(小僧2)の唱えは、役柄に応じた聞きやすさだった。堀川裕貴の小僧3は、役柄を追求する余地を感じた。宿の女が鬼女となり、鐘に入る動きは若者ならではのキレがあった。

 散山節の鼻にかかった発声と震えが、少し気になった。歌三線は比嘉誠伍、久保田諒、加屋本真士、波平宇宙。

 経文を唱える場面は、賛助出演した組踊研修修了生の笛と太鼓に対して、迫力に欠け、実力差を感じさせた。半面、6期生の今後の成長に期待を抱かせた。 
                                            (藤村謙吾)