首里城の大龍柱どちら向き? 彫刻家の西村氏が講演「正面だった」 公開討論を求める声も


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首里城正殿の大龍柱の向きについて講演会で「総合的に考えると正面向きに配置されていたと考えられる」と強調する西村貞雄さん=18日午後、南風原町立中央公民館

 【南風原】再建に向けた検討が進む首里城正殿について、大龍柱の向きを考える講演会(同実行委員会主催、大龍柱を考える会共催)が18日、南風原町立中央公民館であった。1992年の首里城正殿の復元に関わった彫刻家の西村貞雄琉球大学名誉教授が講演し、大龍柱は向かい合わせではなく、正面向きが正確だと強調した。会場からは「向かい合わせを主張する方々の説明も聞きたい」「ぜひ公開討論会を開いてほしい」という意見が相次いだ。

 西村名誉教授は「大龍柱の存在意義や前脚の構え、龍が持つ宝珠の位置付けなど、総合的に考えると、御庭に対して正面向きだったと判断される」と指摘。「写真や絵図は平面だが、前後左右、あらゆる側面から大龍柱を研究しなければ分からない。復元に当たって立体で表現したからこそ、本来の向きが分かった」と説明した。

 那覇市の女性(68)は「大龍柱への関心が高まっている。向き合わせが正しいとしている研究者の意見も聞きたい」と力を込めた。

 一方、講演会に合わせ、17、18日の両日、同公民館で首里城に関する絵画や写真、美術品などの展示会も開かれた。

 西村さんが制作した首里城正殿の唐破風飾りの下絵や獅子の石像をはじめ、絵画や写真、首里城を詠んだ俳句や琉歌がずらりと並んだ。古美術収集家の翁長良明さんが収集した琉球王朝時代の焼き物や貨幣など貴重な物も展示された。

 同実行委員会事務局の松田竹雄さん(81)は「在りし日の首里城をしのぶ思いが結集した展示会。琉球王国の文化の高さが感じられる」と話した。