【動画付き】首里城の大龍柱修復 焼損し3分割状態、ひび割れも160カ所


この記事を書いた人 Avatar photo 嶋野 雅明
火災で被災した損傷部分に樹脂を注入するなど、文化財修復技師によって補修が施される大龍柱=23日午前、那覇市の首里城公園

 首里城火災で焼損した大龍柱の修復作業が23日、本格的に始まった。沖縄総合事務局国営沖縄記念公園事務所によると、焼損した大龍柱2体(阿形、吽形)を首里城公園内の「下之御庭(しちゃぬうなー)」の作業所に運んだ後に精査したところ、胴体を貫通する亀裂が入り、3分割された状態になっていた。龍柱はひびの補修や接合などを行い、11月中旬ごろに補修を終える予定。

 補修した大龍柱は2022~23年に見込まれる新たな龍柱(令和の大龍柱)の制作で見本として使い、首里城の歴史を記録するために保存・展示に活用する。

火災の影響で分裂した大龍柱(沖縄総合事務局国営沖縄記念公園事務所提供)

 国営沖縄記念公園事務所によると大龍柱はそれぞれひび割れが約160カ所あり、表面が剝離(はくり)した部分もあった。龍柱は互いに向き合う形で設置されていたが、全焼した正殿側の面に激しい損傷があった。2体を分割する亀裂は龍柱の頭部の下と胴体の付け根に近い部分。

 同事務所の與那嶺盛明建設監督官は「二度と同じ火災を起こしてはいけない。火災を乗り越えた貴重な資料、歴史的遺物として修復後も展示していきたい」と話した。