戦争の歴史次世代へ ペルー県人会 戦争体験者などの映像を製作しウェブ公開


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平和の大切さを次世代平和の大切さを次世代へ伝えるためにペルー県人会が製作したドキュメンタリー映像「慰霊の日」(県提供)へ伝えるためにペルー県人会が製作したドキュメンタリー映像「慰霊の日」(県提供)

 次世代に平和の大切さを伝えようと、ペルー県人会(山城晃会長)はこのほど、ペルー県系人の戦争体験や沖縄戦を伝えるドキュメンタリー映像「慰霊の日」を製作し、同会のフェイスブックで公開した。県によると、県人会が自主的に移民の戦争体験を取り上げたドキュメンタリー映像は初めて。県などが監修した日本語版は今月末にも県運営サイト「世界のウチナーネットワーク」で公開する。

 同ドキュメンタリー映像は、県系2世で北谷町にルーツがある伊礼津嘉山正信さん(87)の証言を収録した。伊礼津嘉山さんは第2次世界大戦が始まったころは7歳でペルーの日本人小学校に通っていたが、戦争の激化で学校は閉鎖となり、学業を諦めた。

 映像には、県平和祈念資料館や読谷村史編集室などが提供した沖縄戦の資料も紹介し、戦争の悲惨さや、平和の大切さを訴える。

 映像製作者で、ペルー県人会の小波津カリーナ文化部長(34)=西原町4世=は「ペルーは今、4、5世の時代で戦争を知っている若者は少ない。自分の歴史を知らなければ、アイデンティティーは持てない」と話す。中城村と南城市にルーツを持つ県系3世で20代の大城アレサンドラさんと共に映像製作に取り組んだ。

 小波津さんによると、ペルー県人会は毎年6月に慰霊の日に関する展示会を1カ月にわたり開催していた。だが、今年は新型コロナウイルスの影響で中止となったため、ドキュメンタリー映像の製作に着手したという。

 県交流推進課の前本博之課長は「移民からみる移民の歴史を語り継いでほしい」と期待した。

 (呉俐君)