「秘めた覚悟を隅々に感じさせる人物」 大城さん仮通夜 各界から弔問客


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(左から)大城立裕さんの仮通夜に訪れた高良倉吉琉球大名誉教授、伝統組踊保存会の眞境名正憲会長=28日、浦添市伊奈武瀬のファミリーホールいなんせ

 沖縄初の芥川賞作家、大城立裕さんの逝去から一夜明けた28日、浦添市のファミリーホールいなんせで仮通夜が開かれ、親交のあった関係者らが次々と弔問に訪れた。大城さんの幅広い活動を表すように、さまざまな分野の文化人や研究者らが駆け付け、別れを惜しみ冥福を祈った。

 高良倉吉琉球大名誉教授はいち早く駆け付け、大城さんの横にそっと腰掛けて約10分間、静かに別れを告げた。「沖縄に生きるものの、秘めた覚悟を隅々に感じさせる人物だった」とかみしめるように語った。

 伝統組踊保存会の眞境名正憲会長は手を合わせた後、「国立組踊劇場(現・国立劇場おきなわ)誘致運動ではお世話になった」と力を込めた。新しい組踊の台本作りに積極的に取り組んだことに触れ「俺に書けるかなと言いながら、どんどん書いた。現代文学者ならではの表現が面白かった」と振り返った。

大城立裕さんの仮通夜に訪れた対馬丸記念会の外間邦子さん(中央)ら

 対馬丸記念会の外間邦子常務理事ら対馬丸の遺族ら3人も駆け付けた。「先生が小説『対馬丸』を書かなかったら悲劇は伝わらなかった。天国から子どもたちと一緒に見守ってくれる」と祈るように語った。

 大城さんの次男の幹夫さん(60)は、自宅療養中の父親の様子に触れ「時々、書斎の机の前に連れて行くように頼まれた」と、執筆活動への尽きない意欲を感じさせるエピソードを話した。

 29日は同ホールで通夜、30日午後2時からいなんせ会館で告別式の一般焼香がある。