下地OCVB会長「防疫型観光の推進を」 プヤット比国観光大臣「文化維持が優先課題」<ツーリズムEXPO基調講演>


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 29日から11月1日まで、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターを主会場に開催される「ツーリズムEXPOジャパン 旅の祭典in沖縄」には、国内外285の企業、団体が出展する。新型コロナウイルスの感染拡大で苦境に立たされる観光の復活に向け、新しい旅の形やイベント開催の在り方を模索する。初日はフィリピンのベルナデット・ロムロ・プヤット観光大臣、沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長がコロナ禍の現状と課題について基調講演し、フォーラムでは各国の駐日大使がそれぞれの観光振興の取り組みを報告した。

◆下地芳郎OCVB会長「防疫型観光の推進を」

基調講演する沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長=29日午後、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター劇場棟

 沖縄は昨年、入域観光客数が1千万人を超えた。那覇空港第2滑走路の供用開始をはじめ、各地域で空港などが整備されている。インフラは非常に強固だ。一方で観光客数という数の部分で一定の効果はあるが、観光収入や地域経済への波及については、道半ばの状況だ。

 新型コロナウイルス感染拡大で、状況は一変した。本年度の上半期の入域観光客数は100万人に届かず、外国人観光客はゼロ。環境の変化を受けて新しい観光を作る必要がある。安心安全をベースとした、「防疫型沖縄観光」を推進することが重要だ。デジタルの力をどう観光に生かすのかも求められる。ワーケーションも、単にオフィスを整備するだけでなく、教育機能やクリニック機能の整備が必要だ。観光の危機管理においても、他産業との連携強化が大きなテーマになるだろう。


 

◆ベルナデット・ロムロ・プヤット比国観光大臣「文化維持が優先課題」

ビデオメッセージを寄せるフィリピン観光大使のベルナデット・ロムロ・プヤット氏=29日午後、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター劇場棟

 フィリピンは2009年に「観光法」が制定されたことで、観光業が大きく成長した。09年の海外からの入域観光客数は300万人程度だったが、19年には過去最高の826万人になった。観光業は国内総生産の12・7%に達した。観光業は何千人もの人の生活を大きく改善してきた。

 新型コロナウイルス感染拡大を考える上で、フィリピンは国連世界観光機関(UNWTO)が掲げた「人を最優先に」という施策に賛同した。国民を保護し、島々の豊かな文化を維持することが優先課題になった。持続可能な観光の開発と、観光事業者の雇用確保を追求していく。地域社会で人々が生計を取り戻す支援だ。観光は横断的で国境をまたぐ産業だ。状況は流動的だが、より強靱(きょうじん)で持続可能な産業への道を追求するため、ステークホルダー(利害関係者)とパートナーが絶え間なく取り組みを続けることが必要になる。