2019年10月31日、首里城が焼失してから31日で1年を迎えるのを前に、国の「首里城復元に向けた技術検討委員会」の委員長、高良倉吉琉球大名誉教授が29日までに琉球新報社のインタビューに応じた。前回の復元後に新たに見つかった写真などの資料に基づき、複数箇所、今回の再建で修正する考えを示した。美術工芸品の収蔵庫については「城郭内に造るスペースがなく、往事の復元にも反する」とし、県営公園内など城郭外に整備する方向を模索する考えを示した。
首里城につながる周辺の景観の整備に関し、「首里城の再建を契機に国と県が連携することが必要」と強調。長期的な計画を立て、円覚寺や中城御殿、御茶屋(うちゃや)御殿(うどぅん)などの復元に確実に取り組むことを県に求めた。
今回の再建では防火・防災対策が最大のテーマだとした上で、「もう二度と喪失感を与えないように火災に強い首里城を造る。防火対策の首里城モデルを目指す」と強調した。
今回の再建で、一番大きな修正点として、正殿2階、御差床(うさすか)にある高欄(手すり)の形状を楕円(だえん)状から、楕円と丸い部分が混在する形に修正する考えを示した。
一方、大龍柱の向きを「正面向き」に変更するよう市民団体が求めていることについては、「新しい資料が見つかれば当然見直すべきだ。見つからない限り、変わらない」と述べ、現時点で説得力ある資料や知見はないとの見解を述べた。
(宮城久緒、古堅一樹)
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