首里城復元で役割分担 国が正殿、県が計画策定


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 火災で焼失した首里城の復元について、国と県は役割を分担している。国は城郭内の国営沖縄記念公園首里城地区(4.7ヘクタール)内に位置し、昨年10月の火災で焼失した正殿をはじめとした建物群の復元を進める。県は国内外から寄せられた寄付金を正殿木材などに充てつつ、再発防止策を打ち出したり、県営公園(13.8ヘクタール)を中核としたまちづくり「新・首里杜(すいむい)構想」の策定などを進めたりしている。県は新たな復元を契機に、周辺の文化施設の整備の在り方や交通渋滞対策、首里城地下の第32軍壕公開の可否など多岐にわたって議論を進める方針だ。

 国は正殿の本体工事に2022年度から着手し、26年度の完成を目指す。その直後から南殿と北殿の復元工事も進める予定。

 県は今年4月に9項目からなる復興基本方針を策定した。基本方針を基に、「首里城復興基本計画に関する有識者懇談会」(座長・下地芳郎沖縄観光コンベンションビューロー会長)が20年度中に基本計画をまとめる方針だ。

 県は1984年に「首里杜(すいむい)構想」を策定して、首里城を中核とした周辺のまちづくりの方向性を示していた。今回の復元を契機に新構想として再度検討を進める。新構想では県営公園内の中城御殿や円覚寺の復元を計画的に進めることを盛り込む。さらに現在民間地として活用される「御茶屋御殿(うちゃやうどぅん)」の整備に向けた議論も開始する。

 首里城復元を取りまとめる県特命推進課は新構想について「街並みの保全の方向性が示されるコンセプトに近い」と説明した。ただ財源が課題に挙がる。県は2022年度からの次期沖縄振興計画に首里城の復元を盛り込み、整備を進めたい考えだ。

 第32軍壕の公開の可否については本年度に発足する検討委員会で議論する。