暮らしなどデジタル変革でシンポ 欧州を例示「何を解決するかが大切」


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「DXがもたらす沖縄観光の可能性とは」をテーマに話すパネリストら=30日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター会議棟

 ツーリズムEXPOジャパンのテーマ別シンポジウムが展開され、デジタル技術を活用して暮らしやビジネスの変革を進める「デジタルトランスフォーメーション(DX)」のシンポジウムでは、DXを生かした沖縄観光の未来について意見が交わされた。欧州エストニアでDX関連事業に携わる齋藤アレックス剛太氏がビデオ会議システムで基調講演し、99%の国民がデジタルIDを活用して行政サービスを受けている状況や、日本の先進地事例を紹介した。

 人口約132万人のエストニアは多くのスタートアップ企業が存在し、世界屈指のIT国として知られる。齋藤氏は同国が旧ソ連から独立後、広い国土に分散する国民の全てが住民サービスを利用できるようデジタル化を進めた経緯を説明。現在ではデジタルIDを活用し、納税や投票など277個のサービスが利用できるという。

 国内でも石川県加賀市が、スマートフォンだけで手続きが完結できるオンライン行政手続きサービスを始めている。齋藤氏は「目的ではなく、何かを解決するためにデジタルを使うことが大切だ。沖縄県のDXならば、どんな課題があるのかを抽出し、解決方法を明確に考えていくことだ」と考え方を示した。

 沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)の稲垣純一理事長がモデレーターとなったクロストークもあり、齋藤氏のほかシビックテックジャパンの福島健一郎氏、沖縄市観光振興課の宮里大八主幹が登壇。DXの推進に向けた活発な意見が交わされた。