沖縄戦激戦地の南部採取も否定せず 菅首相、辺野古新基地の搬入土砂で答弁


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 【東京】菅義偉首相は30日の参院代表質問で、名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立て用土砂の採取を沖縄防衛局が県内全域に広げた件を問われ、「関係法令で認められた採石場から調達されると承知している」と語った。調達先に沖縄戦の激戦地となった「南部地区」が含まれる点については言及を避けた。菅首相は「変更承認後の埋め立てに使用する土砂の調達先は、工事の実施段階で決まる」とし「関係法令で認められた採石場から調達されると承知している」と述べた。

 土砂の調達先については、沖縄防衛局が4月に県に提出した設計変更の申請書に離島を含む7地区9市町村を追加記載していた。

 質問した小池晃氏(共産党)は、激戦地の「南部地区」(糸満市・八重瀬町)が県内の土砂調達可能量の7割超を占める点について「戦争で亡くなった人の遺骨を岩ズリと一緒に軍事基地の埋め立てに使うなど、戦没者への冒涜(ぼうとく)だ」と指摘。妥当性について菅首相に見解を求めたが、明確に回答しなかった。

 小池氏は質問に関連し、軟弱地盤や工期増大の問題を抱える辺野古移設の断念を求めたが、菅首相は「辺野古移設が唯一の解決策であり、この方針に基づいて着実に工事を進める」と従来の主張を繰り返した。