おっちゃんは心の中に生きている―。今年2月に亡くなった同級生を、こよなく愛した野球でしのぼうと、県立那覇高校の同期生が中心となった追悼試合が10月25日、豊見城市の瀬長島野球場で催された。快晴の下、約45人が2チームに分かれて和やかにプレーし、遺族と共に「おっちゃん」の愛称で親しまれた仲宗根毅さん(享年54)に思いをはせた。
仲宗根さんは1965年生まれの那覇高37期生。合唱部で活動した。周囲を和やかな笑いに誘う「座談の名手」で、クラスや部活をまとめる人気者だった。社会人になった後、30年近く、那覇高の同期生などでつくる野球チーム「スネークス」で月2試合以上をこなし、親睦を深めてきた。昨年夏から体調を崩した仲宗根さんは2月に帰らぬ人となった。
新型コロナウイルス禍で延期されていた追悼試合には、小中高校の同期生らが参加。バックネットに「おっちゃんは心の中に生きている」と記された横幕や出場選手の名簿などを掲げ、追悼式で那覇高校の校歌やトランペット伴奏の「栄冠は君に輝く」を合唱し、盛り上がった。
高校1年時の担任教諭だった金城一男さん(元開邦高校校長)が駆け付け、「毅の分まで、健康で楽しく長生きしてほしい」と激励し、合唱部で1期先輩だった仲宗根さんの妻・清美さん(56)と共に始球式で投球した。全員打席に立つルールで1点を争う熱戦が延長9回まで続き、紅組が1対0で勝った。
毅さんの遺影を携えて観戦した清美さんと母の武子さん(77)は「皆さんの厚い友情、温かい絆を感じるすてきな追悼試合だった。天国から得意のやじを飛ばしながら、毅はとても喜んで見守ったと思う」と声を詰まらせた。
幹事役を務めた仲村兼作さん(55)は「同級生の思いを一つにして、おっちゃんを楽しく悼むことができた」と感慨深げに語った。 (松元剛)