「辺野古が現実的」 仲井真元知事 普天間移設問題で強調


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
叙勲を受けて取材に応じる仲井真弘多元知事=10月29日、浦添市の沖縄電力本社

 仲井真弘多元知事は10月29日、本紙などのインタビューで米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設について「決まったことを変えるのは大変だ。辺野古移設を現実的な選択として取らざるを得ない」と語った。2014年の知事退任以降、琉球新報社などのインタビューに応じていなかったが、秋の叙勲を受けて浦添市の沖縄電力で取材に応じた。

 仲井真氏は普天間飛行場の移設について「理想としては県外に越したことはない」としつつ、「ある種の手打ちをしなければ現実の課題を解決できない」と主張した。知事時代に移設先として九州や四国の空港を調査したと説明し「あちこち回りながら見当を付けてきた。あるところまでいったと自負しているが、簡単には動きにくいと実感した」と振り返った。

 米軍基地全体については段階的に整理縮小を進める必要があると強調した。一方、中国の軍事力拡大に触れ「丸腰で立っている訳にはいかない。用意しておかないと安心して住めない」「日本だけで中国や北朝鮮、ロシアに対抗するのは難しい。今は米軍と組むしか選択肢がないだろう」と語った。

 知事時代の成果として、沖縄振興策に関連した一括交付金の活用や21世紀ビジョンの策定を挙げた。「日本復帰が27年遅れ、特にインフラ面でハンディキャップが残っている。これを乗り越えるには一括交付金の精神はいい」と振り返った。

日米決定、変えるのは大変 一問一答 ある種の手打ち必要

 仲井真弘多元知事と記者団のやりとりは次の通り。

 ―沖縄電力時代に印象に残っている事は何か。
 「本土並みの電気料金を確保できるのかが課題だった。スケールメリットで(県外の)他社との合併を求める声もあったが、社内では『県民の、県民による、沖縄の電気事業』でありたいという思いがみなぎっていた。今では全国と比べても高くない料金だ」

 ―知事時代を振り返って思う事は。
 「稲嶺(恵一元知事)路線の延長だった。歴代知事や県庁、産業界の取り組みがようやく成長曲線に乗り始めた時期だった」
 「一括交付金制度は沖縄にいいと考え、導入を推進した。日本復帰が27年遅れ、特にインフラ面でハンディキャップが残っている。当時の民主党政権も一生懸命頑張ってくれた。時の政府があっち側でも、こっち側でも、意見が合うものが政策化できればうまく進む」

 ―米軍基地問題をどう考えているか。
 「徐々に整理縮小していくのが現実的だ。日本だけで中国や北朝鮮、ロシアに対抗するのは難しい。今のところ、米軍と組むしか選択肢がないだろう」

 ―普天間飛行場の問題をどう考えるか。
 「ウチナーンチュが考えたら県外が一番いい。だが決まった話を変えるのは大変で、また20年かかる可能性がある。名護市が受け入れると言ってくれている間に移すしかない」
 「九州や四国の空港は割と余力があった。そういう所を使えば、辺野古のように埋め立て、コンクリートを打つ必要もなく、反対運動も強くない可能性すらある。あちこち回って見当を付けてきた。あるところまでいったと自負しているが、簡単には動きにくいというのが実感だ。現実の課題を解決するにはある種の手打ちをしないと、それぞれの主張だけでは何も進まない」

 ―一貫した信念は。
 「自立自尊と現場主義だ。トップが自ら計画を作って現場を駆け回れば、出来具合が速い。地方自治体は、政府や官庁の方を向きがちだが、国の了解を取ってからでは遅い。知事がリーダーシップを発揮すればいい」