「次世代交通活用を」 森本教授が提案 鉄軌道シンポ


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まちづくりと交通の関係について講演する早稲田大の森本章倫教授=2日午後、那覇市泉崎の琉球新報ホール

 県は2日、「鉄軌道導入に向けて沖縄の発展に求められる交通体系とは」と題したシンポジウムを那覇市泉崎の琉球新報ホールで開いた。都市計画が専門の森本章倫早稲田大教授が基調講演した。パネルディスカッションでは、識者や観光関係者らが沖縄での交通体系の在り方について意見を交わし、「交通整備は都市経営の一環」などの指摘があった。

 森本教授は交通とまちづくりの関係の観点から講演した。近年研究が進む自動運転車両について、人や車両などの密集度の高い地点で多くの人が一斉に車を乗り降りするためには、広大な空間が必要と説明した。
 情報通信技術を活用した次世代交通サービス「MaaS(マース)」を活用し、郊外などの生活圏の移動には自動運転車両を、都市間などの移動には鉄道を活用し、両者を使い分ける暮らしを提案した。
 パネルディスカッションでは沖縄の陸上交通の課題や観光客の動向、今後の沖縄に求められる交通体系について議論があった。
 県の宮城力企画部長が鉄軌道の導入についての課題として事業採算性の問題を挙げると、コーディネーターを務めた森本教授が「日本は事業採算性にこだわる」と指摘した。
 富山大の金山洋一教授(交通政策)は「欧州などでは、交通整備は都市経営の一環として位置付けられ、自治体が公的資金で整備するのが一般的だ。一部だけを見るのではなく、都市全体で経済を回している」と説明した。
 このほかパネリストとして那覇商工会議所観光サービス部会副部会長の白石武博氏、JTB総合研究所主席研究員の中根裕氏、フリーアナウンサーの幸地由宥子氏が登壇した。