新人王に挑む33歳“パパボクサー”平安山さん 8日対戦へ「自分の力試したい」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
次戦に向けてトレーニングに励む平安山太樹=10月2日、宜野湾市のボクシングクラブナカザト(大城直也撮影)

 プロボクシングの西部日本新人王戦ウエルター級決定戦でTKO勝ちし、華々しいデビューを飾った平安山太樹(33)(那覇工出、ナカザト)が8日、中日本新人王の能嶋宏弥(薬師寺)と対戦する。「沖縄のボクシング界を盛り上げたい」。昨夏にプロ入りを決心してわずか1年余。次戦を勝ち抜けば、西日本代表と相対する西軍代表決定戦に進み、全日本新人王に挑むことができる。3人の子を持つパパボクサーは「自分の力でどこまでいけるか試したい」と闘志を燃やす。

平安山 太樹(33)

 高校卒業後は公務員となり一度はプロへの道を外れた。再出発のきっかけは、OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級元1位の小谷将寿の引退だった。王座決定戦に挑んだ同級生の小谷の姿に「自分もプロで頑張れるんじゃないか」と一念発起。仕事と家庭を両立させ練習に励んでいる。

 中日本新人王との決戦が控える10月、宜野湾市のボクシングクラブ「ナカザト」で息子の椿樹さん(10)と汗を流していた。元東洋太平洋スーパーバンタム級王者で三度世界挑戦した、同ジムの仲里繁会長は「パンチ力もあり、バランスが良い。いろいろなパンチをスムーズに繰り出せる」と期待を寄せる。

 日本拳法をやっていたこともあり、その経験も生かされている。「踏み込みの速さやフェイント、絶対に当たるパンチを出さなければならない試合勘などは通じる部分がある」という。コロナ禍でジムに来られない期間も、職場や家庭の協力もあり、毎日欠かさず汗を流してきた。

 次戦は、2018年度全日本社会人選手権ウエルター級の準優勝者で、2年連続で中日本代表を勝ち取った能嶋との対戦だ。格上の相手にも「緩急を付けてコンパクトな攻撃を展開し、自分のペースに持ち込みたい」と気後れすることはない。ゆくゆくは「東洋太平洋チャンピオンに挑みたい」。33歳の挑戦はまだ始まったばかりだ。
 (上江洲真梨子)