沖縄市に「電子図書館」 コロナ対応交付金を活用 年度内の運用を目指す


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利用者から大好評の「図書館だより」を手に来館を呼び掛ける浜比嘉館長と職員=10月26日、沖縄市中央の沖縄市立図書館

 【沖縄】10月27日から始まった第74回「読書週間」(文化の日を中心に2週間)。全国の図書館では、新型コロナウイルス感染症対策として電子図書館の導入の動きが加速しているが、沖縄市立図書館(浜比嘉誠人館長)でも年度内の本格運用を目指し準備を進めている。一方、コザ市時代の琉米親善センター図書室から61年目の歴史を刻む同図書館は、新館移転後は来館者が年間20万人を突破、さまざまなサービス、事業を展開し、利用者や市民から親しまれている。

 電子図書館はインターネットでいつでも、どこからでもアクセスできるシステム。パソコンやスマホから簡単に閲覧、視聴ができる。感染症への配慮だけでなく高齢者や身体障がい者ら、来館が困難な人の利便性が高まることで、新しい図書館文化づくりが期待されている。

 同市の電子図書館導入は新型コロナ感染症対応地方創生臨時交付金を活用する。運用開始に向けシステムの構築や対象の電子図書の選定作業を急いでいる。県内では久米島町立図書館が18年に初めて導入、南風原町も10月に、県立図書館も年度内の導入を進めている。

 同市立図書館は17年5月、同市文化センターから大型施設旧コリンザ内に移転、新館をオープンした。ワンフロアの面積は九州で最大級。図書館は午後8時閉館だが、最大100人収容できるまなびの部屋は、午前9時半から午後10時まで使え、学生だけでなく社会人の姿も目立ち好評だ。

 現在、蔵書数は25万冊。新館移転後は3年連続で来館者数が年間20万人を突破した。特色は郷土資料と児童図書が充実しているほか、おはなし会、絵本講座、図書館セミナーなど年間20前後の事業に取り組んでいることだ。

 家族連れで毎月、海邦町から来館するという知念ちぐささん(40)と息子の琉平さん(9)=美東小3年。「職員がとても親切で、訪れるのが楽しい。子どもが本好きになってうれしい」と知念さん。琉平さんは「冒険物が好きで、最近は偉人伝にも興味があります」と言葉を弾ませた。

 浜比嘉館長は「基本理念は誰でも、どこでも、いつでも、何でも。市民が気軽に足を運んでもらえるよう利用者ニーズに応えていきたい」と話している。
 (岸本健通信員)