首里城の破損瓦がアート作品に 舞台「Unaー」 先端技術を駆使して完成


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「Una―」に座り、玉陵で眠る国王らに琉球古典音楽を奉納する県立芸大の山内昌也教授=10月31日、那覇市

 沖縄の伝統文化と先端技術の組み合わせによって首里城の焼失瓦が、琉球の文化芸能を未来へつなげるアート作品に生まれ変わった。那覇市の玉陵(たまうどぅん)で10月31日、昨年焼失した首里城の破損瓦を再利用して作った舞台「Una―」を利用した琉球古典音楽のアートパフォーマンスがあった。「Una―」の考案者、県立芸大の山内昌也教授は「Una―を、時間や空間を超えて、琉球の伝統文化を伝えるツールとして活用していきたい」と話した。

 「Una―」制作は、山内教授が代表理事の琉球伝統芸能デザイン研究室と、琉球びんがた普及伝承コンソーシアム、HPC沖縄、技建、okicomで構成する同プロジェクト実行委員会が行った。

 「Una―」は、薄さと強度を持つコンクリート「HPC(ハイブリッドプレストレストコンクリート)」製で、1作品90センチ四方、厚さ約4センチ、重さ約80キロの平板4枚で構成される。やふそ紅型工房による四季の花を描いた作品と、知念紅型研究所による海や船、鶴と首里城を描いた作品の2種類を制作した。首里城の破損瓦を舞台周囲にちりばめ、紅型模様は同瓦を用いて朱色に彩色されている。

 特殊なコンクリート「HPC」を開発したHPC沖縄と同製品を製造する技建は、紅型模様を再現するため、何度も型紙の厚さや図柄を調整して作品を完成させた。アートパフォーマンスは朝と夕方の2回行い、共に琉球古典音楽2曲を歌った。

 知念紅型研究所の知念冬馬さん(32)は「伝統的なものづくりの技術と革新的な技術が合わさり形になったことが感慨深い」と話した。

知念紅型研究所による紅型デザインの「Unaー」