土壇場ワンプレーで逆転優勝 名護が「花園」切符 高校ラグビー県予選


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 ラグビーの第100回全国高校大会県予選最終日は6日、沖縄市の県総合運動公園蹴球場で決勝を行い、名護が読谷を21―19で下し、3年連続19度目の優勝を決め、花園への出場権を獲得した。名護は読谷に終始先行を許す展開だったが、最後のワンプレーで逆転し、接戦を制した。東大阪市の花園ラグビー場で行う全国大会は12月27日に開幕する。今年は第100回の記念大会で例年より出場枠が12校多い63校に増加。準優勝の読谷は花園への切符を懸け九州ブロックオータムチャレンジトーナメント(大分県、20~23日)に出場する。福岡県を除く7県の県大会2位でトーナメント戦を行い、1位は花園に出場する。


王者の意地 ラックでこじ開ける

名護―読谷 後半30分、ラックから相手守備の隙間を縫い、右手でトライを決める名護の神山颯=6日、沖縄市の県総合運動公園蹴球場(長嶺真輝撮影)

 土壇場で一瞬、集中力が切れた。名護は後半25分、敵陣22メートルライン付近から読谷のFB大浜庸了に独走を許し、5点ビハインドを背負う。湿度80%超の中、メンバーには疲労と焦りの色がにじむ。しかし読谷がコンバージョンキックを外し、逆転の芽が残った。屋部旺成主将が鼓舞する。「名護なら追い付けるぞ」

 時間はあとわずか。ラックでFWが圧力を掛け、反則を誘ってボールを奪う。最後のワンプレー。「(体格で勝る)FWが自分たちの強み」(屋部主将)と、選択したのは体を張って押し込む戦術。ラックからパスを回さずにそのまま突進する「ピック&ゴー」を繰り返し、じわじわとインゴールに迫っていった。

 「内側が空いてるのが見えた」。ラックからのボールを抱えたナンバー8神山颯の視界が開けた。「そこを目掛けて飛び込んだ」。体を投げ出し、右手だけでインゴールに楕円(だえん)球をたたき付けて同点。両手を突き上げ、抱き合う選手たち。SO具志堅竣祐が正面から勝ち越しのコンバージョンを決めた瞬間、ノーサイドの笛が響いた。

 終了後、屋部主将は「うれしかったのは半分くらい。心残りが多い」と複雑な表情。読谷の圧力の前に自分たちのスタイルである「ボールと人が動くラグビー」は影を潜めた。それでも宮城剛監督は「最後まで粘って勝ちきったことは素晴らしい。全国に向けていい経験になる」と収穫を見詰める。シード校撃破を目標に花園に挑む。

(長嶺真輝)