「先住民族勧告」撤回に動く沖縄の議会に懸念 研究者団体「人権侵害を助長」


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見解を発表する沖縄国際人権法研究会共同代表の星野英一琉球大名誉教授(右)と島袋純同大教授=6日午後、県庁記者クラブ

 人権問題を研究する識者らでつくる「沖縄国際人権法研究会」は6日、宜野湾市議会などで「沖縄県民は日本の先住民族」とする国連の委員会勧告の撤回を求める意見書が採択されていることに関して、住民の権利を擁護する議会の重要な役割を破棄するものだとして、重大な懸念を表明する見解を発表した。県内全市町村の議会に送付し、意見書採択の動きに追随しないよう求めている。

 同様の意見書は豊見城市、石垣市などの議会で採択されている。県民が「先住民族」ではないとする根拠として、DNA解析や言語の日本語との類似性などを挙げている。

 研究会は見解で「先住民族」と訳される原文の英語が生物学的に規定される概念ではなく、人権など侵害された権利の回復を求めてきた誇り高い人々を指すものだと指摘。琉球諸語についても国連機関のユネスコが「言語」と認定しているなどと反論した。その上で自治体議会に対し、国際的な人権の基準を踏まえ、沖縄の人権状況について真摯(しんし)に議論するよう求めた。

 共同代表2人のうち、島袋純琉球大教授は「こういった議決が続くと、人権侵害をより助長させる結果になりかねない」と強調した。