県立博物館・美術館の指定管理、応募ゼロ 来年4月からの「後任」決まらず 県は再公募の意向


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沖縄県立博物館・美術館=8月、那覇市おもろまち

 県立博物館・美術館の来年4月からの指定管理者の公募期間(8月11日~10月9日)に応募がなく、10日現在、次の指定管理者が決まっていない。現在は沖縄美ら島財団が指定管理を担っているが来年3月で終了する。県は再公募する意向だが、同財団は指定管理料が不足し、新型コロナウイルス感染拡大で今後も収入増の見通しがつかないことなどから応募を見送った。財団はコロナ禍による収入減への補助や指定管理料の引き上げなど、新たな判断材料の提示があれば応募を検討する意向だ。

赤字続き、コロナ禍も
 指定管理期間は2021年4月から26年3月までの5年間。県文化振興課は取材に対し、「応募がない理由などは精査している。来年4月に指定管理者がいないということがないよう再公募に向け準備していく」とした。

 指定管理料については「精査中」とし、コロナ禍については「影響について精査中。予測できないリスクにどう対応するのか協議する」と話した。

 県の資料によると、沖縄美ら島財団は16年度から年間3億247万円の指定管理料を受けて管理をしているが、17年度以降は赤字。19年度の入館者数は過去最高の57万人を記録したが、それでも約2400万円の赤字だった。

 同財団によると、指定管理料は施設管理費と光熱水費で費やし、人件費までには充てられないという。さらに20年度はコロナ禍で入館者が落ち込み、4~9月は約3万人で前年度同時期の約8%にとどまった。

 県は公募で約3千万円増の3億3156万5千円を指定管理料として提示したが、財団は「コロナ禍は今後も続くとみられる。利用者を増やす努力はしているが、提示された条件では適切な管理運営ができないと判断した」と説明した。