「ナショナル・ペン」が沖縄に日本市場向けの拠点 IT津梁パークに


社会
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ナショナルペンの販売する企業の販促用品など(ナショナルペン提供)

 企業名などの入った筆記用具やコップなどの販促製品を製造・販売するナショナルペン(米国)が10日、日本市場の営業や顧客サポートなどを担うコンタクトセンターをうるま市のIT津梁パークに設置することを発表した。2021年1月に開設し、初年度に70人程度を県内で雇用する。

 ナショナルペンは1966年に設立し、23カ国の市場で事業を展開している。ペンを主力に、ノベルティー用の文房具など3万点以上の製品を取り扱い、中小企業を対象に小ロット、低価格で販売している。19年の収益は約400億円。

 同社は千葉県に受注から配送までの業務拠点を設けているが、日本市場向けの営業や顧客サポートはヨーロッパ本社のあるアイルランドで、日本人スタッフが対応していた。日本との時差のためアイルランドでは深夜勤務となり、日本での受注が増えて対応が難しくなったことなどから、日本にコンタクトセンターを設けることになった。

 IT津梁パーク内に約700平方メートルを賃貸し、電話やインターネットで営業や顧客サービスを行う。既に経験者を中心に採用を始めている。

 オンラインで行われた10日の会見で、ピーター・ケリー社長は沖縄を選んだ理由について、IT津梁パークに整備されている通信や電力などのインフラや、スキルの高い人材を東京に比べて採用しやすいことなどを挙げた。「中小企業に低コストで商品を提供するには、安定した雇用とトータルコストの安さが重要だ。アイルランドから日本に移管することで、定着率が高まり顧客との関係を築ける」と話した。

 コロナ禍により渡航ができなかったことから、誘致はリモートで実施された。県情報産業振興課の山里永悟課長は「コロナ禍でも海外企業を誘致できると実証できた。今回をモデルとして、今後も誘致を続けていきたい」と話した。