社会

温暖化でハリケーン長期化 弱まる時間50 年前の倍に OIST研究チームが論文

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)のピナキ・チャクラボルティ教授とリン・リーさんら研究チームはこのほど、上陸したハリケーン(地域によって台風やサイクロンと呼ばれる)の勢力が弱まるまでにかかった時間が50年前の2倍になっており、海面水温の上昇と連動していることを明らかにした。温暖化が進むことで、ハリケーンが長時間にわたって勢力を維持し、被害が拡大する可能性を示した。研究論文が12日の英科学誌ネイチャーに掲載された。


 研究チームは観測データを基に1967~2018年までに北米大陸に上陸した北大西洋のハリケーン71個を分析し、経路や減衰速度などを調べた。上陸経路は過去50年間でほとんど変わらなかったが、減衰するまでの時間が平均17時間から33時間と約2倍に増加していたことを発見した。増加には起伏があり、海面水温の起伏と一致していることも分かった。


ハリケーンと気候変動の関係を明らかにしたOISTのピナキ・チャクラボルティ教授(左)とリン・リーさん(右)=9日、ズームより(OIST提供)

 研究チームはさらに、海面温度が26度と30度の海で発達したハリケーンが上陸した場合のそれぞれの減衰するまでの時間をコンピューター上でシミュレーションした。26度の海で発達したハリケーンは減衰するまでに約17時間、30度では約29時間かかった。ハリケーンは海から取り込んだ水分を「燃料」に発達する。研究チームによると、暖かい海で発達したハリケーンは、より多くの水分を取り込んで蓄え、上陸後はその水分を使って、より長く勢力を維持する。

 研究チームは、近年、ハリケーンが沿岸部だけでなく、内陸部に壊滅的な量の雨を降らせ、大きな被害をもたらす例が目立つとする。

 チャクラボルティ教授は「温暖化を抑制できなければ、今後もハリケーンは内陸の広範囲に到達し、大きな被害をもたらすことなる」と警鐘を鳴らす。今後、研究チームは世界の他の地域のデータも分析し、世界中で同様の現象が起きているか検証していく。

(吉原玖美子)



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