新型コロナウイルスの影響で業績が悪化した事業者を支援する「持続化給付金」を巡り、県警は不正に給付金を受給したとして詐欺容疑で沖縄タイムス元社員の男(45)を逮捕した。コロナ禍で県経済が沈む中、相次いだ給付金の不正受給問題は、全国でも例がないマスコミ関係者の逮捕に至り衝撃が走った。同容疑者の逮捕を皮切りに、県警は数百人規模の関与が疑われる県内の不正受給問題の全容解明を急いでいる。
持続化給付金100万円を国からだまし取ったとして逮捕された、沖縄タイムス元社員の男(45)。複数の関係者によると、同容疑者は給付金の不正受給に関与する前から、本業とは別に仮想通貨などの投資を行っていた。不正受給に関係するようになると、給付金の一部で投資するよう呼び掛けることもあったという。事件の全容解明を進めるため、県警は13日午後、同容疑者の自宅を家宅捜索した。
関係者によると、同容疑者は自身の紹介で給付金を受給した人に「(給付金の一部を)お礼として投資してほしい」と勧誘していたという。相手が投資をしない場合は、別の形で見返りを求めていたとみられる。同容疑者は不正受給発覚後、見返りなどを求めたことを打ち消すようなメッセージを、関係者に送信した。
同容疑者は投資仲間らと「Mプラチナ会」というライングループを作成し、投資に関する情報交換などをしていた。不正受給が明らかになると、同容疑者はグループメンバーに対し「会社に呼び出された。迷惑をかけたくないから辞めることになる。いろいろとダメでした。もう連絡とれません」などとメッセージを残した。その後、一切の連絡が取れなくなったという。
逮捕当日の13日午前6時半ごろ、那覇市内の同容疑者の自宅前には十数人の報道陣が詰めかけた。同容疑者は自宅周辺に姿を見せず、同日午後1時ごろに那覇署に出頭した。
午後2時10分ごろ、県警は自宅の家宅捜索に着手した。2台の捜査車両が自宅の敷地内に乗り入れ、10人ほどの捜査員らが段ボールを抱えて自宅に入り、家宅捜索を開始した。約2時間半後、捜査員らが押収した関係資料を捜査車両に運び込み、自宅を後にした。