コロナ労災認定3件 沖縄県内 申請30件、今後増加予想


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沖縄労働局

 業務中に新型コロナウイルス感染症に感染し、労働者災害補償保険(労災保険)の支給が認められた件数が、夏から11月10日時点で県内では3件あった。同時点の申請件数は30件。同課は今後、申請が増えると見込んでいる。労務管理に詳しい社会保険労務士(社労士)は「感染しても労災保険が下りることを知らず、申請していない可能性がある」と指摘した。

 同課は残り27件について、申請者本人への聞き取りや保健所に確認をしながら業務上の感染であったか、調査を進めている。担当者は迅速に対応したいとする一方、「感染経路が不明な場合が多く、補足調査が必要な場合が多い」と話し、調査に時間がかかると説明した。

 厚生労働省は労災認定の目安を設け、医療従事者は業務外で感染したことが明らかな場合を除き、給付の対象となるとしている。そのほかの職種でも顧客との接触機会が多い労働環境で感染した可能性がある場合、感染経路が未特定でも対象になるという。労災保険の支給が認められると、国が治療費全額と休業中の給与の8割を負担することになる。

 社労士の玉城巖氏は、適正に給付するために丁寧な調査が必要だと指摘。その上で「感染症の場合は業務上での感染かどうか、見極めが難しい」と調査に時間がかかる理由を説明した。

 また、県内の感染者数に対して申請件数が少ないことについて「感染して仕事を休んだ上に、申請で会社に手間を掛けてしまうと、ためらう人も多いのではないか」と推測した。