【深掘り】下地氏復党「第2ラウンド」は自民本部 仲井真元知事「反対」首相に直訴へ


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自民党本部への訪問を終え、記者の問い掛けに応じる国場幸之助衆院議員(左)=11日、東京

 【東京】下地幹郎衆院議員=無所属=の自民党への復党問題を巡り、「復党容認派」と「復党拒絶派」の駆け引きが一層激化している。自民党県連(中川京貴会長)が常任総務会を開き、県連として復党を認めない方針を決定したことを受け、二階俊博幹事長は17日の会見で県連の判断を見極める姿勢を示した。復党に反対の立場を取る県連最高顧問の仲井真弘多元知事は同日までに上京し、菅義偉首相らに「復党拒否」を直談判する見込みだ。最終的な判断は党本部に委ねられている状況で、攻防は中央での“第2ラウンド”に突入した。

■くぎを刺す

 「沖縄県連の状況をよく聞いてみたいと思っている」。二階幹事長は17日の会見で下地氏の復党問題への党本部の対応を問われ、こう答えた。県連の決定を踏まえ、党本部内で対応を協議するとみられる。

 二階氏は党本部の方針を留保した格好だが、一方の県連は15日の常任総務会で、復党願を提出した下地氏の処遇について県連として復党を認めない方針を決定している。

 県連の常任総務会に先立ち、衆院議員の国場幸之助、宮崎政久、西銘恒三郎の3氏や島尻安伊子元沖縄担当相といった県内各支部長も、党本部に「復党拒否」の総意を伝達。県連幹部も20日に党本部に結論を伝えるため上京する。

 こうした動きに呼応するように、県連最高顧問の仲井真氏も17日までに上京し、自民党幹部と会談を重ねた。仲井真氏は菅義偉首相とも会う予定で「下地氏の復党を認めないよう党本部側にくぎを刺す狙いもある」(自民党選対関係者)との見方もある。

 自民党本部の選対幹部は「復党は認めない。県連の意向を無視することはない」としており、下地氏の復党は困難な情勢だ。それでも「復党拒絶派」が活発な動きを見せる背景には、「復党容認派」の仕掛けへの警戒感がある。

■既成事実化か

 「容認派」の中心となっている国場組の国場幸一氏は10月2日、党本部に下地氏の復党を直談判した。二階氏や、下地氏と当選同期で「近しい」とされる山口泰明選対委員長と面会を重ねるなど、復党の下地作りを演出した。

 12日までには、経済界から集めた「保守合同」を求める署名1万2428筆を県連に提出。同時に下地氏の復党も求めたが、複数の企業関係者から「下地氏の復党と関係がある署名とは聞いていなかった」と戸惑いの声も上がった。

 県連幹部の一人は「15日の常任総務会前にも容認派に都合のいい情報が出回った。下地氏の復党を既成事実化しようとしている印象だ」と困惑の色を浮かべる。県選出の自民党議員は「党本部の正式決定までは何を仕掛けて来るか分からない。終わりが見えない攻防になる」とこぼした。
 (安里洋輔)