夏川りみ 洞窟に響かせた透き通る歌声 「少しでもハッピーに」思い込め


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透き通った歌声で13曲を届け観客を魅了する夏川りみ=15日、南城市玉城のガンガラーの谷

 洞窟ライブ「Breezing Hall Project Vol.2―夏川りみ―」(沖縄テレビ主催)が15日、南城市のガンガラーの谷で開かれた。幻想的な空間に石垣島出身の歌手・夏川が代表作「涙そうそう」や沖縄の名曲など13曲を届けた。美しく澄みきった歌声が響き観客の心をつかんだ。会場からは動画の生配信も行った。演奏は醍醐弘美(キーボード)、玉木正昭(ドラム・パーカッション)、迎里中(ベース)、迎里計(一五一会・三線)が務めた。

 朱色の着物姿で現れた夏川。8月以降、開催延期となっていた公演の実現に夏川は「皆さんの前で生の声が届けられとてもうれしい」と感慨深げに喜んだ。衣装の着物には焼失した首里城への思いを込めた。「芭蕉布」を情緒豊かに歌い幕開けを飾った。

 島袋優(BEGIN)が作詞作曲した「心の呼吸~Breath of the heart~」を伸びやかに歌い、古謝美佐子の代表曲をカバーした「童神(わらびがみ)~ヤマトグチ~」では赤子を抱くようなしぐさで歌う姿にも優しさがあふれた。八重山民謡「月ぬ美しゃ」では琉笛を美しく響かせ、「イラヨイ月夜浜」へとつなぎ、郷里の風を吹かせた。

 宮沢和史が作詞作曲した「愛よ愛よ」を味わい深く歌い、夏川はまぶしい笑顔を見せた。代表作「涙そうそう」や、同郷の迎里計が作曲した「うたのうた」、THE BOOMの「島唄」を力強く披露すると、観客から歓声や拍手が鳴り響いた。

 次第にアップテンポの楽曲で会場を沸かせていった。カチャーシーの手踊りをユニークにレクチャーした夏川。観客と一緒に「安里屋ユンタ」と「豊年音頭」を手踊りして、観客の心を一つにした。デビュー20周年を迎えたことや、コロナの影響での自粛期間を振り返り「音楽の力で少しでもハッピーな気持ちにしたい」と思いを込めた。最後に「満天の星」を届けると拍手がやまず、アンコールは喜納昌吉の「花」で心地よく締めくくった。オープニングには同島出身の宜保和也が3曲を届けライブに花を添えた。
 (田中芳)