「オートクチュールのようなフレンチを」 銀座でミシュラン一つ星・髙良さん


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ
「ラフィナージュ」オーナーシェフの髙良康之さん

レストラン「ラフィナージュ」オーナーシェフ 髙​良康之さん(53)

 

 将来はF1マシンを造りたいという夢を抱いていた少年が、アルバイト先での調理体験をきっかけに料理の世界に飛び込んだ。工業高校卒業後、ホテルの洗い場からスタートし、さまざまな人との出会いやフランス修行などを経て2007年、日本を代表するグランメゾン「銀座レカン」の総料理長に就任。18年からは銀座に自身の店をオープンさせ、食材を生かしたフレンチを提供する。

 

 バイト先の喫茶店では、カレーやミートソースを一から手作りし、その作業を見ながら客からの反応が直接伝わってくるのが楽しかった。

 

 卒業後、専門学校には入らずホテルに就職。洗い場から始めたが、調理場に欠員が出てコーヒーショップに配属された。ラウンジでサンドイッチやパフェ、ルームサービスではとんかつ、バーでは中華調理と、多種多様なメニューに対応しなければいけなかった。料理を「体で覚えていった」。職場にはホテルオークラ出身の先輩もおり、フランス料理にも触れ興味を持つように。

 

 22歳でフランスに渡った。各地のレストランで修業し、魚料理、鶏料理、ソースなどを習得した。1991年に帰国。「南部亭」の料理長、「ブラッスリーレカン」料理長などを経て「銀座レカン」の6代目の総料理長となり、10年間務めた。食に関するセミナーで全国を巡り、フランス料理活性化に向けた活動など精力的に取り組む。

 

 開業した自身の店では、客のニーズをしっかり見極め、「オートクチュールのような料理」を提供するよう心掛けているという。ミシュランガイドで星一つを獲得した。年を重ねるごとに父親の故郷、沖縄への思いも募っている。アグーや島野菜など島の素材を料理に取り入れている。

 

 「うまくできなくて悩むこともあったが、料理人を続けられたのは、いつも興味を持ち続けられたからこそ」

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たから・やすゆき 1967年生まれ、東京都出身。父親は那覇市出身。「銀座レカン」の総料理長を務めた後、銀座にレストラン「ラフィナージュ」を開業し、オーナーシェフとなる。