首里城の防火体制、県外視察を踏まえ議論 再発防止検討委員会


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首里城火災を受けて、再発防止策を議論する委員ら=25日、那覇市の首里城公園

 昨年10月に起きた首里城火災の再発防止策を協議する第三者委員会「首里城火災に係る再発防止検討委員会」(委員長・阿波連光弁護士)は25日、那覇市の首里城公園で第4回会合を開き、来年3月にまとめる最終報告書の在り方を議論した。委員らが今年10月に実施した防災管理体制の県外先進地への視察調査を踏まえて、首里城の防火体制を議論した。

 県外では行政職員が直接警備業務に携わることで、防災の意識が高い人材が育っているという。一方、現在首里城公園では防災管理も含めて指定管理業者に一括委託されているため、防災の専門家が育ちにくく、ノウハウも引き継ぎにくいとの意見があった。

 同委員会は今後、観光面と防災面で首里城公園の管理主体を切り離すなど、現行の指定管理体制の見直しを含めて議論する。

 委員らは10月に兵庫県の姫路城と京都府の妙心寺、清水寺を視察して防災・防火対策を調査した。阿波連委員長によると、姫路城は観光面の管理は業者に委託しているが、防災警備は姫路市職員が直接担っている。首里城との違いは、長い歴史がある、これらの文化施設を守るために防災に高い意識を持った人材を育むシステムが築かれている点だという。

 会合は冒頭以外非公開で行われた。終了後に取材に応じた阿波連委員長は「設備が最適なものであることは大切だが、どんなに良い設備ができても最終的に守るのは人だ。5年に1回、指定管理者が変わってノウハウが引き継げないのは困る」と話した。