「制服自由の日」校長に聞く「生徒を信頼、伝えたかった」 那覇・鏡原中


社会
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鏡原中校長の新垣康史氏=21日、那覇市鏡原町の鏡原中学校

 那覇市立鏡原中学校は7日と21日、生徒が自由な服装で登校できる「制服自由の日」を実施した。同校はこれだけでなく、制服を男女で分けず「ズボン基調」「スカート基調」という呼び名を取り入れており、生徒は戸籍上の性別に関係なく、好きな方を選べる。生徒の自立や自治を重んじ、さまざまな改革に取り組む新垣康史校長に話を聞いた。 (聞き手 稲福政俊)

 ―「制服自由の日」を実施した背景は。

 「最終的には校則のない学校を目指しているが、簡単ではない。先生が生徒を信じるだけではだめで、先生が生徒から信頼される存在にならないといけない。いい学校とは、決まりで管理し、先生が生徒をコントロールしやすい学校のことではない。生徒にとっていい学校にしていかないといけない。赴任してから双方の信頼構築に取り組んでいたので、生徒の心の成長を見てみたかったし、先生が生徒を信頼しているということも伝えたかった」

 ―やってみた感想は。

 「初回は野球部のやんちゃな生徒たちがユニホームを着てきた。『お利口さん』と言ったが、生徒は私に見つからないように裏口から入っていたので、後ろめたさがあったのだと思う。野球部のユニホームは体育の時は着替えに時間がかかるし、毎日着るとなると洗濯も大変だ。生徒はいろいろ考え、2回目はユニホームを着ていなかった」 「普段は見られない生徒の特性も見ることができた。おとなしい子が自己表現する機会にもなった。しかし、毎日となると、服装に経済格差が現れてしまう。ずっと続けるのは沖縄では難しいと感じている」

 ―生徒の自立を重んじている。

 「これから寒くなるので、スカートを着ている生徒に『大変じゃないの?』と聞いて、どうするのかを考えてもらった。そうすると、生徒会から膝掛けを認めてほしいと提案が来た。使わない時の置き場所など、ルールは生徒自身が考えた。自治の力が付いているので、私はこの提案を認めるつもりだ。次はどのような提案が来るのか楽しみだ」

 「生徒からの相談がきっかけで制服の男女もなくした。制服の変更はお金も時間もかかるので、変えたのは考え方。男女ではなく、スカートの制服とズボンの制服と呼ぶ。今ではズボンをはいている女子生徒がいても、誰も何も言わない」

 「眉毛がつながっていることにコンプレックスを抱える生徒がいれば、眉を剃(そ)ってもいい。要は、不安な時に相談してもらえる関係をつくりたい」