柔道からアマ横綱に 宇榮原が全日本選へ リーチ生かし四つ相撲


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ

 アマチュア横綱を決める全日本相撲選手権(12月6日、両国国技館)に宇榮原叶(23)(中部農林高―日大出、サトウ)が挑戦する。ことしは新型コロナウイルスの影響で社会人大会の中止が相次いだため、例年のように大会成績によるポイント上位者ではなく、各県連盟からの推薦で出場権が与えられた。県連盟から推挙の白羽の矢が立った宇榮原は「この機会に感謝している。後輩に頑張っている姿を見せたい」と奮い立っている。

全日本選手権に向け、得意の四つ相撲をイメージして立ち合いで激しくぶつかる宇榮原叶(左)=21日、うるま市の中部農林高
宇榮原叶

 高原小2年から柔道を続けたが、宮里中2年で転機が訪れた。2010年のこの年、美ら島総体で山本浩太が主将として率いた中部農林の全国準優勝を目の当たりにし「迫力と気合で空気がぴりぴりしていた」と相撲の迫力に魅了された。

 柔道から転向し、進学した中部農林高で団体の最高位は九州での準優勝。この成績には満足がいかず「相撲を始めたからには結果を残したい」と強豪・日本大の門をたたいた。

 大学2年生の頃に「自分は柔道出身で正統派ではない。投げが強みだ」と長いリーチを生かした四つ相撲への専心を決めた。稽古では重心のずらし方や相手に寄せる方向、立ち合いなど自らの取り口を生かそうと研究を続けた。白星が増えていき、2年生の冬にレギュラーのみが渡される黒色のまわしをつけるようになった。

 「必ずメダルを取る」と意気込んだ大学4年生の全国学生個人体重別選手権。ヤマ場は準々決勝だった。東洋大の強敵に右四つから相手の体勢を崩して小手投げで土をつけた。力を発揮して決勝まで進み、準優勝に輝いた。

 「やってきたことは間違いじゃなかった」。学生相撲を終えて一定の満足感はあったが、得た自信はさらに競技を続けたいという欲求に変わった。

 卒業後はうるま市内にある福祉関係の器具を取り扱うサトウに就職。仕事の傍ら母校の中部農林高で稽古に精進する。昨年は先輩の山本(沖縄ガス)、山城将吾(同)とともに西日本実業団選手権で県勢初の準優勝を達成した。

 身長175センチ、体重115キロ。国内最高峰の全日本選手権には県内から毎年出場者がいるわけではない。その大会で、おととしは山本が予選敗退したものの奮闘した。宇榮原は「『ことしは山本先輩じゃないから負けた』とは言わせない。ベスト16以上になる」と重責を全うするつもりだ。
 (古川峻)