県不動産鑑定士協会(髙平光一会長)は1日、不動産市況の調査結果を発表した。半年前と比較した地価動向の業況判断指数(DI)は、住宅地が5月の前回調査比12.9ポイント上昇のマイナス9.1、商業地は同1.3ポイント低下のマイナス20.3、軍用地は同25.4ポイント低下のマイナス34.9となった。新型コロナウイルス感染症の拡大で年2回のDI調査が共にマイナス値となり、今後半年間の予測値もいずれの用途ともさらに落ち込むと予想されている。髙平会長は「依然として厳しい状況が続いている」と指摘した。
緊急事態宣言が発出され経済が著しく停滞していた前回に比べると、経済状況が回復していることから住宅地は全地域で改善した。
商業地は本島南部や北部、離島ではDIがプラスとなったが、那覇市や那覇市周辺では引き続き下落の実感が強い。
軍用地は全ての地区でマイナスで、不況を受けて現金化する動きが増えたことや、金融機関の融資審査が厳しくなっていることなどが背景にあるとみられる。
賃料水準の動向は、共同住宅は県全体で同2.7ポイント低下のプラス0.4。離島は、公共工事の終了に伴い作業員の貸家需要が減少したのと感染症の影響が重なり、マイナス30となった。
店舗.事務所の賃料は、県全体でマイナス32.2となった。特に国際通りや松山地区を含む那覇市西部で同31.3ポイント低下のマイナス45.2となった。感染症の影響による売り上げの急減や休業、閉店する店も多く、不動産業者から「売り物件に反応が見られない。動きが感じられない」などの声が上がっている。
取扱件数DIは宅地がマイナス25.5、マンションがマイナス37.9、戸建て住宅がマイナス32.7、軍用地がマイナス45.5だった。不動産鑑定士の伴清敬氏は「売る側はまだ強気な価格を設定していることが多く、慎重姿勢の買い手側とギャップが生じている」と指摘した。
感染症の影響について、業者からは「企業や個人の収入減少により購入意欲が低迷している」「収益物件への問い合わせが減った」などの意見があった一方、住宅地については影響が少ないという声もあった。
調査結果の詳細は、県不動産鑑定士協会のホームページに掲載されている。