93歳・認知症女性「心は生きている」 浦西中で読み聞かせ 生徒とおしゃべり


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中学生に本の読み聞かせをする兼次孝子さん(左)と伊波清子さん=浦添市立浦西中学校

 本を手に取り、力強い声で本を読み上げる。座間味村出身で浦添市の認知症対応型グループホーム「グループホーム浦西」に通う兼次孝子さん(93)がこのほど、市立浦西中学校(當間五弥(かずや)校長)を訪れ、生徒に本の読み聞かせをした。兼次さんは、はきはきとした声で本を読み、生徒らを圧倒した。認知症への理解を深めようと企画された。

 兼次さんが本の読み聞かせをしたのは同校1年2組(新垣わかな教諭)のクラス。グループホームの介護主任である伊波清子さん(48)と一緒にゆっくり教壇へ向かった。

 本を読む前に、伊波さんが兼次さんを紹介し認知症について説明した。「今話していたことはすぐに忘れてしまうけど、お話が好きで、元気で明るい方です。本を読むのが大好きな93歳です」と説明した。

 兼次さんが取り上げたのは「いつだって心は生きている~大切なものをみつけよう~」という認知症を紹介する本。言葉に力を込めて読み上げ、生徒たちは認知症への理解を深めた。読み聞かせが終わった後、兼次さんはうれしそうな表情で生徒に「聞いてくれてありがとう」と伝えた。

 休憩時間には廊下で他の生徒と触れ合いながら楽しくおしゃべりする姿も。読み聞かせを聞いた仲里莉杏さん(13)は「とても元気なおばあちゃんだったのでびっくりした。認知症のことについてもっと知りたいと思った」と話した。

 兼次さんは新しいグループホームへと移動することが決まっており、伊波さんは「離れるのは少し寂しいけど、兼次さんは誰とでもフレンドリーに接するので、別の場所に行っても変わらず明るく元気だと思う」と笑った。(金城実倫)