例年は「密」の年末年始が一変… 忘新年会や賀詞交換会、福袋はどうなる?


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 忘新年会や初売りで街が活気付く年末年始だが、新型コロナウイルスの感染防止対策のため忘年会の自粛や福袋の販売見送りなどが広がり、例年とは様相が一変している。多くの企業や自治体が年始の賀詞交換会の中止を決めている。経済団体の合同新年会や観光の集いは中止はしないものの、大勢を集めない開催の方式に変更する。一方、政府は年末年始の人出の増加を回避するため、従業員の年末年始の休暇を来年1月11日まで分散取得するよう経済界などに要請しているが、沖縄県内企業で休暇分散の動きはあまり見られない。

 ■小売り

今年のデパートリウボウ初商い=那覇市久茂地

 那覇市久茂地のデパートリウボウは例年通り1月2日を初商いとするが、リウボウオリジナルの福袋について販売を中止することを決めた。今年1月は開店前から約5千人が行列を作る人気だったが、担当者は「行列ができて混雑する。感染リスクに配慮するべきだと判断した」と説明した。テナントの各専門店の福袋は販売を予定する。初商いの開店時間を午前9時に前倒しして、混雑の緩和を図る。

 サンエーは、新春恒例の「お年玉付き商品券」の販売中止を発表した。今年は大型店舗など21店で1万5300本を販売し、元日の午前中に売り切れた。担当者は「喜んでもらっていたので残念だが、もしも感染が拡大すればご迷惑をお掛けしてしまう」と話した。

 イオン琉球は「お年玉付きギフトカード」の店頭での販売はせず、ウェブ上で予約を受けて抽選する方法に切り替える。

 ■初競り・初荷

今年の泊魚市場初競り=那覇市の泊魚市場

 那覇市の泊魚市場は仕事始めの日の早朝に、1年の安全と豊漁を願う祈願祭と初競りを行う。例年は水産団体や行政関係者など約100人が集まるが、1月4日の祈願祭は参加者の規模を大幅に減らす予定だ。

 浦添市伊奈武瀬の県中央卸売市場では、1月4日に花卉(かき)、同5日に青果の初競りを迎える。例年は太鼓演舞などで盛り上げる初競りに伴う式典は縮小する。

 オリオンビールも、毎年の初荷式に社員や県内企業の関係者など約500人を招くが、来年は役職員に参加者を絞る。担当者は「初荷式のニュースを見てお正月を実感するという声もあるので、対策を徹底した上で開催したい」と話した。

 ■忘新年会・休暇延長

 県が「会食は4人以下、2時間以内で」と求めていることもあり、多くの企業が職場単位の忘年会や新年宴会は中止としている。年始の賀詞交換会も、人の移動に伴う感染リスクがあることから、中止する企業や自治体が多い。

 例年、仕事始めの夜に県内の主要企業や経済団体の役職員らが一堂に介する「経済31団体合同新年会」は、各団体の代表者のほか、県知事や那覇市長、沖縄総合事務局長の来賓に絞って開催することを検討している。式の様子を動画で中継し、視聴できるようにする予定だという。沖縄観光コンベンションビューローが主催する「沖縄観光新春の集い」も、食事を出さず、フォーラムのような形式で開催を検討している。例年、千人程度の参加者を、300人程度に縮小する予定。

今年の経済31団体合同新年宴会=那覇市の沖縄ハーバービューホテル

 担当者は「宿泊客の減少や宴会の中止などでホテルが苦しい状況なので開催したい。会合を開くためのモデルケースを示すことにもつながる」と話した。

 政府が求める年末年始休暇の延長については、特に対応をとらない企業が多い。沖縄電力は、年末年始の前後に有休を取得することを推奨しているが、公休自体の長期化や分散については「24時間体制でエネルギーを供給しているため難しい部分がある」とした。