戦闘機にヘリ、黒く焦げた壁…窓枠オブジェが問い掛ける沖縄の現実


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沖国大のヘリ墜落や宮森小の戦闘機墜落など、米軍の事件事故をモチーフにした作品を発表する仲村真さん=11月27日、那覇市泉崎の琉球新報社

 宜野湾市内の保育園や小学校校庭に米軍機の部品や窓枠が相次いで落下した事故から今月で3年が経過する。県内でボランティアの平和ガイドとして活動する仲村真さん(65)は、これまでに起きた米軍機墜落や部品落下事故を刻印するオブジェを制作し、記憶の継承を訴えている。「事故を忘れてはいけない。落下事故などが積み重なって重大事故につながる」と警鐘を鳴らす。

 作品のタイトルは「終わりなき〈いくさ〉」。2017年の12月13日に普天間第二小学校の校庭に落下した米海兵隊のCH53E大型輸送ヘリの窓枠をほぼ実物大に再現した。窓ガラス部分には、1959年6月に宮森小に墜落したF100戦闘機と、2004年に沖国大へ墜落したCH53型ヘリの模型が突っ込み、黒く焦げた校舎の壁面も表現している。

 17年12月7日に緑ヶ丘保育園に落下した米軍機の部品や、19年6月4日に浦添市の浦西中のテニスコートに落下した米軍ヘリのゴム製テープの模型も配した。

沖国大のヘリ墜落や宮森小の戦闘機墜落など、米軍の事件事故をモチーフにした作品

 米軍機の模型は外国製をインターネットオークションで競り落とした。CH53ヘリの模型は窓が落下した機体を示すため左窓を外し、F100は実際の事故で乗組員が脱出したように天蓋(てんがい)(キャノピー)を取り除いた。細部にまでこだわり、制作に2カ月をかけた。

 オブジェは全て英語表記。仲村さんは「米兵にこそ知ってほしい。普天間飛行場に譲りたい」と制作意図を説明する。その上で「窓枠に表現したのは全て学校に落ちた物で、宮森小以外は全てCH53から落ちた。CH53の運用をすぐにも停止しないと大きな事故が起こってからでは遅い」と危機感を募らせている。仲村さんのオブジェは7~13日、那覇市の琉球新報社1階で展示する。 (滝本匠)