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伸びしろは無限大 陸上男子円盤投げ・藤原 孝史朗 日本代表へ日々技術磨く<ブレークスルー>


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JOCジュニアオリンピック全国高校陸上兼U20大会の男子円盤投げで3位入賞した藤原孝史朗=10月、広島県のエディオンスタジアム広島(本人提供)

 181センチ、113キロの恵まれた体格で、2019年の国民体育大会で少年男子共通円盤投げの頂点に輝いた藤原孝史朗(19)=沖縄市出身。再び全国の頂点に立つ強い志を胸に、今春から陸上の強豪・九州共立大に進んだ。ゆくゆくは国際大会での活躍も視野に「日本代表を背負うための4年間だと思っている」とステップアップを目指す。だが、新型コロナウイルスの猛威で、練習はもちろん、学校生活もままならない日々を送らざるを得なかった。今季の大会日程を終え、新たな課題と向き合い、来季の躍進を誓って冬を迎える。

■切磋琢磨で気力アップ

 陸上部には投てき部門だけで約60人が在籍し、全国から各種目の猛者が集う。沖縄カトリックでの高校時代は、一人でグラウンドでフォームの動画を撮影し、見直していたことを思うと「同級生がいて、先輩がたくさんいる。それだけで練習も楽しい」と切磋琢磨(せっさたくま)し合える環境を楽しんでいる。1学年上には、58メートル38の日本高校記録を持つ山下航生もおり「先輩に早く追い付きたい」とフォームや技術指導などを受ける。専門の練習施設が整い、自粛中も「他の学生よりも質の高い練習ができている」とモチベーションが下がることはなかった。

 円盤が高校用より250グラム重い一般用の2キロになったことで、筋肉の使い方やスローイング、フォームなどこれまでとは異なる点がたくさんある。慣れるため、新たにウエートトレーニングを取り入れ、筋力強化に注力してきた。

■真の強さを追究

 10月に行われたJOCジュニアオリンピック全国高校陸上兼U20全国陸上競技大会は、円盤投げ(1・75キロ)で48メートル30で3位入賞。ただ、1、2位はいずれも同級生。自己ベストの54メートル13にも遠く及ばず「足の回転、最後に振りきるポイントの力の入れ方が不十分だった」と納得いく結果ではなかった。

 試合後、監督から「遠くに投げるだけでは、真の意味で強い選手になれない。本番にも強くなれ」と言われた。その言葉を反すうし、常に考える。「練習で記録を出せても本番で出せなければ意味がない」と。失敗を恐れず挑戦者の気持ちで臨む姿勢を学んだ大会だった。

 コロナ禍の異例の1年を終えた藤原は「今季は自己ベストの54メートルを一度も投げられなかった。早く先輩に追い付けるよう、オフシーズンもウエートやフォーム研究をしたい」と力強い。持ち味でもある最後の振りきりの強さを生かしつつ、さらに全力を込められるターンを研究し「来季はインカレに出場し入賞を狙う。挑戦者の気持ちを忘れずに攻めていきたい」。未来の代表を目指して、藤原の鍛錬は続く。
 (上江洲真梨子)