ヤンバルクイナがノネコに襲われた? 東村の生息南限 保護団体「放し飼い注意を」


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農道に現れたつがいのヤンバルクイナ=国頭村

 【北部】東村平良の国有林内で10月31日、天然記念物のヤンバルクイナの死骸が見つかった。野生生物の保護に取り組む「どうぶつたちの病院沖縄」によると、ヤンバルクイナの生息南限は同地域とされるが、死骸が発見されるのは初めて。

 2000年代初めは数が減ったヤンバルクイナだが、生息域が回復傾向にある。一方、発見者で東村ノグチゲラ保護監視員の中村保さん(76)は、鳥獣保護区外で死骸が見つかったことに触れ「ノネコなどによる被害ではないか。やんばるの良さを発信するためにも、保護区の設定を見直すべきだ」と指摘した。

 ヤンバルクイナは1986年には1800羽ほどの個体数が推定された。だが、1910年にハブ対策のために沖縄に持ち込まれたマングースの北上や、野生化した猫や犬による食害、車道を歩いているときに車両に引かれるロードキルなどの影響で、2005年には個体数が約700羽まで激減した。生息南限は北上し、2000年代の初めには国頭村でしか見られない状況となった。だが国や県、村のさまざまな取り組みにより、個体数は徐々に増えて、14年には1500羽まで回復している。

ヤンバルクイナの死骸を発見した場所で、発見時の状況を説明する中村保さん=11月5日、東村平良

 どうぶつたちの病院沖縄はヤンバルクイナの鳴き声を流し、反応して鳴き返した声で生息を確認する方法「プレイバック法」を用いた調査を実施している。10年には東村内で3回鳴き声を確認し、15年には22回と7倍以上の数が返ってきている。データの集計はまだ途中だが、近年、増加傾向にあるという。

 同団体の金城道男副理事長は「ノネコの数は減っているが問題は飼い猫。放し飼いにしている家庭も多い」と指摘した。マイクロチップの有無でノネコを判別しており、捕獲対象とならない飼い猫の中には一晩で3キロ以上移動する猫もいるという。「飼い猫は室内飼いをしてほしい。地域住民の取り組みで、固有種の環境がもっと良くなると思う」と語った。
 (喜屋武研伍)