米兵が私有地にテント張り野営 村に事前通告なし「不法侵入の可能性」 沖縄・高江


社会
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民間地に設置された米軍のテント=8日、東村高江(伊佐真次さん提供)

 【東】東村高江の私有地で8日、米空軍所属とみられる兵士3人がテントを張り、野営をしている様子が確認された。同日午前、現場を通りかかった住民が発見した。民間地での米軍の野営は極めて異例。米兵らは同11時半ごろに撤収した。県や東村には事前の通告はなかった。米軍基地問題に詳しい沖縄国際大学の前泊博盛教授は「不法侵入に当たる可能性がある。民間地を自由に使うことがあってはならない」と指摘した。

 現場の私有地は沖縄やんばる海水揚水発電所の近く。同日午前9時ごろ、地元の農家から連絡を受け現場に向かった同村の伊佐真次村議によると、迷彩柄のテント3張りが設置され、それぞれのテント内に米兵がいた。現場にはナンバープレートに「AIR FORCE(空軍)」と記された牽引用のトラック1台のほか、四輪車2台があったという。

 當山全伸村長らも現場に駆け付け、米兵に滞在理由を尋ねたところ「前日の午後に北部訓練場での訓練に向かったが、ゲートが閉まっており入れず、ここへ来た」と説明した。関係者らが現場が私有地であることを伝えると謝罪し、午前11時半ごろに現場を離れた。

 伊佐議員は「20年前にも農地で射撃訓練が行われるなど、同じようなことが民間地で長年にわたって続いている。大型車両で集落内も通行しており危険だ。道路を利用する農家も困っている」と訴えた。高江の仲嶺久美子区長(70)は「山全体がつながっていて演習場の範囲が明確に分からない。改善策が必要だ。同じことがないようにしてほしい」と語った。

 米空軍は本紙の取材に「調査する」とし、野営の目的など詳細については明らかにしなかった。