オンライン診療を与那国島で実証へ 離島で全島民対象は全国初 セルラーとメドレー社が実施


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オンライン診療の実証を開始する(左から)メドレーの豊田剛一郎代表、外間守吉与那国町長、沖縄セルラーの菅隆志副社長。モニター上はオンラインで参加する与那国町診療所の崎原永作所長=9日、那覇市の沖縄セルラー本社

 沖縄セルラー電話(那覇市、湯淺英雄社長)と医療プラットフォーム事業を手掛けるメドレー(東京)は9日、那覇市の沖縄セルラー本社で記者会見を開き、与那国町民約1700人を対象としたオンライン診療の実証事業を開始すると発表した。離島地域で全島民を対象にしたオンライン診療の実証は全国初の試みとみられ、両社は取り組みを通して医療体制の維持につなげていきたい考えだ。

 与那国町唯一の医療機関となる与那国町診療所には医師1人が常駐していて、医師不足が指摘されてきた。新型コロナウイルスが感染拡大する中で医師が感染してしまうと、島民が必要な医療を受けられない深刻な事態に陥る可能性がある。さらに、感染リスクを恐れて持病を抱えながらも診察を受けない島民も出ているという。

 実証はメドレー社のオンライン診療システム「CLINICS」のアプリを活用し、発熱があった場合にオンラインで同診療所とつないで受診できる体制を整える。沖縄セルラーはオンライン通信の支援として、役場や消防、社会福祉協議会などにタブレット端末を配置する。緊急時には役場などの職員が患者の自宅を訪れ、オンライン診療の手助けをする。

 会見で沖縄セルラーの菅隆志副社長は県内にある47の有人離島のうち、診療所があるのは19島に限られていることを指摘。「事業の有用性を確認できれば、(将来的には)診療所がない島への展開も考え、沖縄の医療課題の解決に向けて進めたい」と語った。

 会見にはメドレーの豊田剛一郎代表、外間守吉町長ら同町関係者も出席。事業について与那国町診療所の崎原永作所長は「患者の通院負担を軽減し、非接触での診療が可能なので、医療者のリスクも軽減できる」と期待を示した。