那覇市内の女子生徒が2014年12月に自ら命を絶った問題で、生徒の通っていた県立高校が「自殺と思われるが原因は不明」との基本調査報告書を県教育委員会や文部科学省に提出していたことが11日までに分かった。生徒は中学3年のころに40代男性教諭からわいせつ被害を受けていた。生徒の保護者は、生徒は高校入学後も中学教諭から受けたわいせつ被害に悩み、命を絶ったと主張している。
県立学校教育課によると、報告書には学校が聞いた警察の所見と学校が実施した聞き取り調査などの結果が添付されていた。報告書に添付された担任の記録によると、中学時代の教諭からわいせつ行為を受けたことを把握したのは入学して8カ月後の14年12月だった。保護者との面談で、中学時代に教員からわいせつ被害を受けた事実を伝えられた。保護者からは「男性と2人きりになったり、触られることで過呼吸などパニックになることがある。本人は対処法を知っているので、そっとしておいてほしい」と言われ、担任は授業などで関わる男性教員のみと必要最低限の情報を共有したという。
基本調査は自殺と思われる事案が発生した際に学校が実施する調査で、保護者や友人などに「いじめを受けていたか」「悩みを抱えていなかったか」などを聞く。いじめなどの問題が疑われる場合や保護者の要望があった場合に行う「詳細調査」は実施されていなかった。
保護者は本紙の取材に「高校が報告書を作成していたのは知らなかった。(生徒が亡くなった後に)担任と話をした記憶はあるが、調査だったという認識はなかった」と話した。