【識者談話】コザ騒動、高等弁務官の現場視察 「米側に強い危機感か」野添文彬氏(沖国大准教授)


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野添文彬沖国大准教授

 ランパート高等弁務官がコザ騒動の当日に現場を訪れ、実際の様子を目にしたというのは初めて聞いた。米側の動きが公になることには意味がある。米側がどのように対応したかが分かれば、コザ騒動の持つ意味がより明らかになっていく。
 公文書には当時、琉球列島米国民政府(USCAR)が沖縄の状況を心配する様子が記録されている。高等弁務官が直接、様子を見た印象が表れている可能性がある。米側の危機感が反映されているのだろう。
 しかしランパート氏は直後に「脅威が完全になくならない限り(毒ガス撤去の)作業開始を承認しない」などと声明を出し、恫喝(どうかつ)だとして住民の反発を招いた。背景に何があるのか、高圧的な姿勢との関連性が気になる。
 国務省の文書などは、この発言の沖縄側の解釈は誤りだと主張している。安全性などを考慮すれば、現実的に(毒ガスの)移送が難しくなるということを言っただけだと。ランパート氏が実際に騒動の様子を見たのであれば、安全性への脅威を感じ、強い危機感を抱いた可能性がある。(ランパート氏が安全性を考慮したという)国務省の言うことが、あながち間違いではないとも考えられる。
 コザ騒動を受けて、USCARは琉球警察との連携など治安対策の強化を打ち出している。これも現場を見たことが関連していると考えられる。