中城御殿に収蔵品移転へ 首里城復旧本部 防火対策の一環


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 昨年10月に焼失した首里城の再建に向け、県の首里城復旧・復興推進本部(本部長・玉城デニー知事)は15日、県庁で第3回会合を開いた。首里城の防火対策として、現在整備が計画される中城御殿=那覇市首里大中町=の展示エリアに、火災前の首里城に保管されていた美術工芸品の一部を移して展示する方針を決定した。県は来年度に有識者委員会を設置し、中城御殿跡地整備基本計画の改定に着手する。委員会には新たに防災の専門家も含め、展示エリアだけではなく施設全体の基本計画を見直す方針。

 火災前の首里城に展示・保管されていた美術工芸品1510点のうち、391点が火災で焼失した。国が2026年度に再建を目指す正殿は火災前より防火対策が強化されているが、木造のため、国と県の有識者委員会で美術工芸品を城郭外へ移すことを求める意見が出ていた。中城御殿には複製品ではないオリジナルの美術工芸品を移す。

 中城御殿の財源や移し替える工芸品数、整備完了時期は未定。正殿の整備を進める国とも調整を進めている。中城御殿は琉球王国の次期国王となる王位継承者が暮らした邸宅で、1945年の沖縄戦で破壊された。県は復元へ向け、2010~14年度に中城御殿跡地整備基本計画を策定していた。

 また会合では県外企業が寄付しやすい環境を整備するため、県の「地域再生計画」に首里城の再建を位置付けたことも報告された。企業が自治体に寄付すると最大9割の法人税が減税となる「企業版ふるさと納税」制度の活用拡大を狙う。