子ども医療費の「現物給付」保護者からも要望 「重症化する前に受診できる」


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 子どもの医療費について、窓口での立て替え払いが必要な自治体の保護者からは、立て替えが必要ない「現物給付」を求める声が上がる。現時点で現物給付を実施していない宜野湾市で、小学3年と中学3年の子どもを育てる女性(51)は「現物給付であれば安心して受診できる」と強調する。

 女性によると、2人の子どもの受診が重なったり、金額が大きくなったりした場合、お金の心配で医療機関に行けない時もあるという。子どもは大きくなるにつれ、受診の機会は少なくなるものの「高校生まで助成対象にしてくれれば、助かる家庭は多いのではないか」と話す。

 2017年から現物給付を導入した南風原町で、乳児から小学生まで3人の子どもを育てる女性(45)は「手持ちの現金を気にせず、いつでも病院に駆け込めるのはとても助かる」と感謝する。子どもの1人にぜんそくがあり、定期的な診察と継続的な予防薬が必要だ。ぜんそく以外にも、3人の子どもは歯科や耳鼻科などで、さまざまな診療を受ける。「無料なので重症化する前に気軽に受診できる」と、現物給付の効果を実感する。

 領収書などを後から送る必要のある「償還」払い方式の自治体に住む知人からは、忙しい中で申請期限を過ぎたり、領収書を紛失したりすることがあると聞いた。「自分たちは安心して子育てできる。これこそが少子化対策では」と評価する。

 南風原町で子どもの居場所を運営する、一般社団法人カナカナの仲本かなえ代表は「(医療費の)一時の立て替えでも『出せないから行けない』という家庭はある」と指摘。親が病院などに連れて行けず、虫歯や鼻水がひどい子どももいるという。「県内一律の現物給付の早期実施が必要だ」と提言した。